日本の新作6,300本を数えた。会社の新作は半分が「AI」、個人は4本に1本
Newmade が集めた2年分の日本の新しいプロダクト、約6,300本を数えました。直近の半年、会社のプロダクトは半分以上が名前か説明に「AI」を入れていました。個人開発はほぼ4本に1本のままです。個人が何を作っていたのかも見ていきます。
Newmade は、日本で生まれた新しいプロダクトを毎朝紹介しています。紹介する候補を探すために、2024年10月から2026年9月までの2年間に出たプロダクトを集めてきました。
集めたものは約6,300本になりました。1本ずつ、名前、作り手、値段、何をするものかを書き留めています。せっかくなので、数えてみました。
いちばんはっきり出たのは、会社と個人とで、作るものがずいぶん違うということです。
約6,300本の集め方
ここで数えた約6,300本は、Newmade が PR TIMES、App Store、GitHub、Zenn、Makuake などを見て集めたものです。日本で出たすべてではありません。どこを見たかで数は変わります。そのため、本数の増減ではなく「割合」と「最初に出た時期」を中心に書きます。
いちばん多い出どころは PR TIMES です。PR TIMES は、会社がプレスリリース(報道向けのお知らせ)を出すサイトです。集めたもののほぼ半分(47.2%)が、PR TIMES のリリースを出典に含みます。次に多いのは、公式サイトなど(18.9%)、App Store(13.1%)、GitHub(13.0%)でした。
つまりこれは、「Newmade がどこで見つけたか」の数字でもあります。会社の発表は見つけやすく、個人の作品は見つけにくい。その偏りを頭に置いて読んでください。
2年を、半年ずつ4つの期に分けました。
| 期 | 期間 | 集めた本数 |
|---|---|---|
| 期1 | 2024年10月〜2025年3月 | 1,417 |
| 期2 | 2025年4月〜2025年9月 | 1,308 |
| 期3 | 2025年10月〜2026年3月 | 1,348 |
| 期4 | 2026年4月〜2026年9月 | 2,235 |
期4だけ本数が多いのは、探す場所を広げたからです。プロダクトがそれだけ増えた、という意味ではありません。だからこの記事では、期と期の本数を比べず、期の中での割合を比べます。
作り手で分けると、2年分で会社・団体が約6割(60.1%)、個人と分かるものが2割弱(17.1%)でした。残りの2割強(22.3%)は、ハンドル名だけなどで、会社か個人かを決められませんでした。
会社の新作は「AI」つきが当たり前になった
まず、名前や「何をするものか」の一文に、AI、生成AI、LLM、ChatGPT、Claude などの言葉が入っているかを数えました。AI を売りにしているかどうか、ということです。この記事では、これを「AI つき」と呼びます。
会社・団体のプロダクトのうち、AI つきの割合は、半年ごとに上がり続けました。
- 期1(2024年10月〜): 34.1%
- 期2(2025年4月〜): 43.9%
- 期3(2025年10月〜): 46.6%
- 期4(2026年4月〜): 54.0%
直近の半年で、半分を超えました。
たとえば 100 Agent Works は、営業やマーケティング、顧客対応の決まった作業を、AI エージェントに任せるサービスです。ACGWORLDS 企業向け漫画制作 や Acompany AIスタジオ(β版) も、名前や説明に AI を掲げています。
プレスリリースだけで見ると、形はもっとはっきりします。最初に PR TIMES で見つけたものに限ると、AI つきの割合は期1の37.2%から、期3で52.2%、期4で57.6%になりました。期3からは、プレスリリースで出たプロダクトの半分以上が AI つきです。
個人開発は4本に1本のまま
同じ数え方を、個人の作り手にも当てました。
- 期1(2024年10月〜): 22.0%
- 期2(2025年4月〜): 33.6%
- 期3(2025年10月〜): 25.2%
- 期4(2026年4月〜): 24.6%
期2に一度、3本に1本ほどまで上がりました。そのあとは25%前後、ほぼ4本に1本に戻っています。会社の線が上がり続けたのと比べると、違いが分かります。
| 作り手 | 期1(2024-10〜) | 期2(2025-04〜) | 期3(2025-10〜) | 期4(2026-04〜) | 2年分 |
|---|---|---|---|---|---|
| 会社・団体 | 34.1% | 43.9% | 46.6% | 54.0% | 45.3% |
| 個人 | 22.0% | 33.6% | 25.2% | 24.6% | 25.6% |
AI の話題がこれだけ多いと、個人開発もみんな AI に向かっていると思いがちです。Newmade が集めた中では、そうなっていませんでした。
この差が数え方のせいではないかも、2通りで確かめました。
ひとつは、集計した時点(2026年10月)で記事にしていた558本です。記事を書くときに、作り手が会社か個人かを公式サイトなどで確かめています。名前か一行の説明に AI の言葉があるのは、会社が51.5%、個人が24.6%でした。ほぼ同じ差です。
もうひとつは、作り手を決められなかった2割強の扱いです。これを全部会社に入れても、全部個人に入れても、差は残りました。期4で、会社は49.1〜54.0%、個人は24.6〜27.9%の間に収まります。
個人は何を作っているのか
では、個人は何を作っているのか。まず目立つのは値段です。
| 作り手 | 無料で出しているもの |
|---|---|
| 会社・団体 | 41.2%(2,025本中834本) |
| 個人 | 90.5%(960本中869本) |
値段が分かったものの中で、「無料」から始まる割合です(アプリ内課金があるものも含みます)。個人のものは、約9割が無料でした。
作っているものは、暮らしの小さな困りごとに寄っています。
おさんぽびより は、路面の熱さまで推定して、犬の散歩に出てよいかを点数で判定する天気アプリです。今年7月には、同じように路面の温度から散歩の可否を判定する、はちたびも出ました。
麻雀なら、対局しながら点数を管理する「対麻 〜対局中も!麻雀点数管理〜」や、待ちと点数計算を練習する「麻雀ドリル - 何待ちと点数計算」があります。どちらも無料です。あそびば:麻雀 ポーカー ナンプレ 囲碁 トランプ ゲーム は、将棋や麻雀、ナンプレなど、通信なしで遊べるゲームをまとめたアプリです。
Capsomnia は、Caps Lock を「蓋を閉じても MacBook をスリープさせないスイッチ」に変える Mac アプリです。
どれも AI を売りにしていません。AI と書く必要がないものを、作り手が自分で困ったところから作っています。
ただし、AI の「道具の道具」は個人の場所
個人が AI のそばで目立つ場所が、ひとつだけあります。AI にプログラムを書かせる道具の、さらに周りの道具です。
Claude Code(Anthropic)や Codex(OpenAI)は、指示を出すと AI がプログラムを書いてくれる道具です。Cursor は、その機能を組み込んだエディタです。これらの名前や、「コーディングエージェント」「AIコーディング」の言葉が、名前や説明に出るものを数えました。
- 期1(2024年10月〜): 5本(0.4%)
- 期2(2025年4月〜): 45本(3.4%)
- 期3(2025年10月〜): 44本(3.3%)
- 期4(2026年4月〜): 80本(3.6%)
期1と期2は、同じ集め方をした期どうしです。その間で、0.4%から3.4%になりました。「Claude Code」の名前が出るものは、期1は0本、期2は34本です。Claude Code が広く使えるようになった2025年5月と、時期が重なります。
そして、2年分の174本のうち、作り手が会社・団体なのは29本(17%)だけでした。全体では会社が約6割なので、ずいぶん少ない数です。残りは、個人と分かるものが45本、ハンドル名だけなどで判定できないものが100本でした。
たとえば cclens は、Claude Code の会話記録を読んで、時間やトークン(AI に払う利用量)の無駄と直し方を示すツールです。ccteams は、役割の決まった AI の「チーム」を、コマンドひとつでプロジェクトに入れます。agentfdr は、Claude Code や Codex の記録を読んで、AI が何をしたかをあとからひと区切りずつ振り返れます。MCP Image Generator(mcp-image) は、Codex や Claude Code から画像を作らせる道具です。
AI を売りにした製品ではなく、自分が毎日 AI を使っていて困ったところを直す道具。個人の作り手は、そこに集まっています。
MCP でも、先に動いたのは個人だった
同じ形は、MCP でも見えます。
MCP は、ChatGPT や Claude のような AI から、ほかのサービス(Notion、Excel、会社のデータなど)を使えるようにするための共通の決まりです。Anthropic が2024年11月25日に発表しました。
| 日付 | Newmade が集めた中で起きたこと |
|---|---|
| 2024-11-25 | Anthropic が MCP を発表 |
| 2024-11-30 | 個人が GitHub に MCP のプログラムを3本出す(mcp-server-duckdb ほか) |
| 2025-01 | 会社が GitHub やブログで出す(kintone の非公式サンプル、Gyazo MCP Server) |
| 2025-04-09 | プレスリリースでの最初(LAPRAS MCP Server) |
発表の5日後に個人が出し、プレスリリースになったのは約4か月半後でした。5日後の3本のうち、最初の公開の日付まで確かめられたのは mcp-server-duckdb です。残りの2本は、GitHub に置き場所を作った日を使っています。
そのあと、MCP を中心にしたプロダクトのうち、作り手が会社・団体の割合は半年ごとに上がりました。
| 期 | 会社・団体の割合 |
|---|---|
| 期1(2024-10〜) | 24.1%(29本中7本) |
| 期2(2025-04〜) | 40.4%(47本中19本) |
| 期3(2025-10〜) | 55.3%(38本中21本) |
最初は個人が試し、あとから会社が追いついていきました。本数は少ないので、大きな流れとして読んでください。また「最初」は、Newmade が見つけた中での最初です。もっと早いものがあるかもしれません。
海外での見え方
最後に、海外からどう見えているかです。
Product Hunt は、英語圏で新しいプロダクトを投票で毎日順位づけするサイトです。運営が選んで上に載せる「注目枠」があり、そこに入るかどうかで見られ方が大きく変わります。
2026年4月から9月までの183日分、注目枠を1日も欠かさず調べました。
| 項目 | 数 |
|---|---|
| 注目枠に入ったプロダクトの総数 | 4,132件 |
| そのうち日本のもの | 22件(約0.5%) |
| 日本のものの最高順位 | 4位(Pocket Screen、2026-07-17) |
日本のものが注目枠に入るのは、月に2〜6件でした。ただ、入れば上に来ます。22件のうち15件は20位以内でした。
注目枠に入らなかった日本のもの32件のうち、27件は101位より下でした。日本語のタイトルのまま出したもの(ことばみまもり、リザブル、サロネなど)は、すべて注目枠の外でした。
まとめ
Newmade が集めた約6,300本で見ると、会社は AI つきの割合が上がり続け、直近の半年で半分を超えました。個人は4本に1本のままでした。
そのかわり、個人は約9割を無料で出し、犬の散歩や麻雀の点数のような、身近な困りごとを解くものを作っていました。AI のそばでは、AI を使う人のための小さな道具を作っていました。新しい技術にいち早く手を出すのも、個人でした。
「AI」という言葉は、いまはプロダクトの説明によく出てきます。けれども、その言葉があるかどうかで、新しいプロダクトの面白さは決まりません。Newmade は、AI を使っているかよりも、誰のどんな困りごとを解くのかで選び、そこを書くようにしています。
この記事の数え方
対象
- 集めた記録は6,509本です。そこから、日本発か疑わしいもの(103本)、公開日が2年の外か分からないもの(85本)、重複(16本)、期間外の目印があるもの(4本)を外しました。重なりがあるので、足し算は合いません。残りの6,308本を数えました。
- 期は、記録にある公開日で分けました。公開日には、本当の公開日の代わりの日付(GitHub に置き場所を作った日、掲載サイトに載った日など)が入っているものがあります。注記からそう読めるものが約2割(20.8%)でした。抜き取って調べた682本では、10〜12%の公開日を直しました。半年ごとの期にしたのは、このずれの影響を小さくするためです。
判定の規則
- 作り手: 作り手の欄に「株式会社」「合同会社」「大学」「Inc」などがあれば会社・団体、「個人」「ソロ開発」などがあれば個人としました。ハンドル名やローマ字の名前だけのものは「判定できない」にしました。
- 記事で確かめると、会社・団体と判定した419本のうち406本(97%)は本当に会社でした。
- 個人と判定した64本は、記事では個人38本、非公表22本、会社2本でした。
- 判定できないとした74本は、記事では会社27本、個人27本、非公表19本で、会社と個人がほぼ半々でした。
- AI つき: 名前・分野・「何をするものか」の一文に、AI/生成AI/LLM/GPT/ChatGPT/OpenAI/Claude/Gemini/人工知能/機械学習/AIエージェント のどれかがあるもの。英単語の中の「AI」(MAIL など)は数えません。
- 無料: 値段の欄が「無料」で始まるもの。「未確認」「不明」「要見積」などは分母から外しました。会社は「要問い合わせ」が多く、その分が分母から外れています。
- MCP の会社の割合は、MCP を狙って探した担当が見つけた173本(すべて期4)を除いて数えました。期4は集め方が違うので、表に入れていません。
- Product Hunt の数字は、担当が183日分の注目枠を取った記録をそのまま使いました。
この数字で言えないこと
- 数えたのは「名前や説明に AI と書いているか」です。「中で AI を使っているか」ではありません。AI を使っていても書いていないものは、数に入っていません。
- 作り手の2割強は、会社か個人か判定できていません。上で書いたとおり、どちらに全部入れても差は残りますが、割合そのものには幅があります。
- 集め方に偏りがあります。会社の発表は PR TIMES で見つけやすく、個人の作品は見つけにくい。個人開発の掲載サイトには途中からできたものもあり、期4はそれを広く見ました。そのため「個人開発が増えた」とは言えません。この記事は、期の中での割合だけを比べています。
数えるのに使ったスクリプトと結果は、Newmade の手元に残しています。数え方への質問や誤りの指摘は、誤りの報告の窓口で受け付けます。
Newmade では、こうして見つけたプロダクトから、毎朝いくつかを選んで紹介しています。AI つきのものも、そうでないものも、困りごとがはっきりしているものを選んでいます。朝に1通で受け取りたい方は、ニュースレターもあります。